「Markdownでメモを書きたいだけなのに、アプリはどんどん重く、多機能になっていく」——そう感じたことはありませんか。クラウド同期の設定に悩まされたり、開いた瞬間にAIアシスタントが話しかけてきたり。ただ静かに書きたいだけの人にとって、いまのメモアプリはすこし賑やかすぎるのかもしれません。

こんにちは。個人でiOSアプリを開発している、App DragonのQちゃん(qtarou11111)です。この記事では、私がつくったMarkdownメモアプリ「MARGIN.」を、開発者本人の視点で紹介します。ローカル保存にこだわった理由、双方向リンクや全文検索といった機能、そして「AIなし・プラグインなし・サブスクなし」という、いまどき逆張りにも見える設計思想についてお話しします。

MARGIN.とは?ローカルファーストのMarkdownメモアプリ

MARGIN.(マージン)は、ローカルファースト・Markdownネイティブのノートアプリです。App Storeでのサブタイトルは「書く余白を、あなたに。」。カテゴリは仕事効率化で、iOS 15.1以降のiPhone、iPadOS 15.1以降のiPad、macOS 12.0以降(Apple M1以降)のMac、さらにApple Visionでも動作します。対応言語は日本語と英語です。

いちばんの特徴は、ノートがMarkdown(.md)ファイルとして端末の中に保存されることです。独自形式のデータベースに閉じ込められることも、どこかのサーバーに送られることもありません。完全オフラインで動作するので、通信環境を気にせずいつでも書けますし、書いたものはプレーンテキストのままあなたの手元に残ります。

「メモアプリなのにローカル保存?」と思われるかもしれません。でも、10年後もそのメモを読めるかどうかを考えると、答えは意外とシンプルでした。.mdファイルは、どんなエディタでも開ける、いちばん寿命の長いフォーマットのひとつだからです。

MARGIN.でできること — 双方向リンク・全文検索・グラフ表示

シンプルさを大切にしつつ、「知識をつなげる」ためのコア機能はしっかり載せています。

[[ ]]記法の双方向リンク

ノートの中に [[ノート名]] と書くだけで、ノート同士をリンクできます。ObsidianやRoamで「双方向リンク」に触れたことのある方には、おなじみの書き心地だと思います。メモが増えるほど、あとから思わぬつながりが見えてくるのがこの仕組みの面白いところです。

FTS5による全文検索

検索にはFTS5を使った全文検索を搭載しています。ノートが増えても、キーワードひとつで目的のメモにたどり着けます。「書いたことは覚えているのに見つからない」というメモアプリ最大のストレスを、ここで潰したかったのです。

グラフ表示・カレンダー・タグ

ノート同士のつながりはグラフ表示で可視化できます。自分の頭の中のネットワークが目に見える形になるのは、単純に眺めていて楽しいものです。さらにカレンダービューでノートを日付から辿れるので、「先週の打ち合わせのメモ」のような時間軸での探し方もできます。タグによる整理にも対応しているので、リンク・日付・タグの3つの入り口から自分のメモにアクセスできます。

なぜ「AIなし・プラグインなし・サブスクなし」にしたのか

MARGIN.は、App Storeの説明文で「AI機能なし・プラグインなし・サブスクなし」とはっきり書いています。自分では「AI疲れの避難所」と呼んでいます。

AIを否定したいわけではありません。私自身、開発ではAIを毎日使っています。ただ、メモを書くという行為に限っていえば、要約や提案が割り込んでくるより、静かな余白のほうが価値があると考えました。考えごとの途中で気の利いた補完をされると、思考がそこで止まってしまうことがあるのです。

プラグインをなくしたのも同じ理由です。拡張性は魅力ですが、「プラグインを揃えてからが本番」という構造は、書き始めるまでのハードルを上げてしまいます。MARGIN.はインストールした瞬間が完成形。設定を育てる楽しみの代わりに、すぐ書ける気楽さを選びました。

MARGIN.の使い方と活用シーン — 日々のメモから知識のネットワークまで

使い方に決まりはありませんが、私自身の使い方を少し紹介します。

  • デイリーノートとして: カレンダービューがあるので、その日のことをその日のノートに書き溜めていくスタイルと相性がいいです。日記、作業ログ、思いつきの置き場に。
  • Zettelkasten・第二の脳づくりに: 読んだ本や記事の要点を1ノート1テーマで書き、[[ ]] でつなげていくと、グラフ表示に自分だけの知識のネットワークが育っていきます。
  • オフライン環境でのメモに: 通信不要で動くので、機内や電波の弱い場所でも普段どおり書けます。同期の競合でメモが壊れる心配もありません。
  • iPhoneで書いて、あとで活かす: 中身はただの.mdファイルなので、書いたものを他のツールで活用したくなったときも、そのまま持ち出せます。特定のアプリにデータを人質に取られない、というのはローカルファーストの大きな安心感です。

こんな人におすすめ — スマホで軽快にMarkdownを書きたい人へ

正直にいうと、MARGIN.は万人向けのアプリではありません。向いているのは、こんな方だと思います。

  • Obsidianの思想は好きだけど、スマホではもっと軽快に書きたいと感じている人
  • クラウド型メモの情報の置き場所に不安があり、端末内で完結させたい人
  • AI機能てんこ盛りのアプリに疲れて、ただ書くことに集中したい人
  • メモはMarkdownで、自分のファイルとして持っておきたい人
  • 双方向リンクやグラフ表示で、メモを知識のネットワークに育てたい

逆に、複数人でのリアルタイム共有や、AIによる要約・提案を求める方には、他のアプリのほうが合っているはずです。MARGIN.は「ひとりで、静かに、長く書き続ける」ためのアプリです。

まとめ — 書く余白を、あなたに

MARGIN.は、ローカル保存・完全オフラインのMarkdownメモアプリです。.mdファイルという開かれた形式でノートを手元に残しながら、双方向リンク・FTS5全文検索・グラフ表示・カレンダー・タグで「書く」と「つなげる」を支えます。そしてAIなし・プラグインなし・サブスクなし。機能を足すことより、書くための余白を守ることを選びました。

iPhone・iPad・Mac・Apple Visionに対応しています。メモアプリ選びに疲れてしまった方こそ、一度この静けさを試してみてください。

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